1. 医師会事業

令和7年事業計画書

 公益の増進に寄与する責任を有する公益社団法人の使命を自覚し、日本医師会、北海道医師会、道内の各郡市医師会との連携の下、医の倫理の高揚と医療提供体制の充実を計り、室蘭・登別両市民をはじめとする西胆振地域の住民の健康と福祉の増進に寄与する。
 毎年度実施の事業、健康診査及び予防接種などの各種受託業務を継続し、特定健診業務を行う医療機関に対する支援を行い、公益に寄与する。
 国の医療計画である5疾病6事業を関係医療機関との緊密な連携の下、目標値達成に向け努力する。また、室蘭市における地域医療連携・再編等推進協議会にも参画し、室蘭市のみならず、登別市及び胆振西部医療機関との役割も考慮し、地域医療構想、公立病院のあり方など総合的に判断し、より良い医療提供体制維持に向け活動していく。
 胃がん関連では、ピロリ菌の果たす役割が明らかになり、室蘭市・登別市の理解の下、当地域の先進的事業として40歳から65歳までのピロリ検診の受診率向上に努力する。より早期のピロリ菌除菌が胃がん発症の予防することができるという提言に鑑み、中学2年生のピロリ検診、ピロリ菌陽性者の除菌事業を公費負担で継続実施し、受診率向上に努力する。様々な諸相を持つがんを社会問題として捉えなければならない時代を迎え、平成28年に発足した室蘭市内の報道機関、行政機関、議会関係者、医療機関、患者団体、事業所団体などから構成される“六位一体”の室蘭がんフォーラム活動を支援し、地域のがん関連指標の改善に寄与する。
 平成26年6月に公布された“医療介護総合確保推進法”による地域医療提供体制の構築に必要な協議の場において総合的に提言を行っていく。また、医療・介護・福祉に係わる地域包括ケアシステムの構築・深化は喫緊の課題であり、IoTを利用したシステム構築が求められ、総務省の補正予算により従来のSWANネットを高度化したスワンネット北海道を胆振西部医師会の協力を得て西胆振地域で稼働させたが、参加施設の参加料により運営し、医師会事業として充実を図り、安定的なシステム構築・運営に努力する。
 西胆振には、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、外国人宿泊客が増加し、和6年度上期では、約39万人が来ており、また、室蘭市・登別市には、約1,000人の外国人居住者がいる。異国の地での急病、災害時の情報不足による不安は、如何ばかりか計り知れず、登別市という世界的な観光地を持つ医師会として、多国語言語に対応できる医療・救急体制の構築に行政とともに努力する。
 超高齢化社会の到来とともに、認知症の問題は避けて通ることはできない。認知症疾患医療センター(精神科病院併設)、地域包括支援センター、認知症初期集中支援チーム、市民後見人制度などと連携し、かかりつけ医、一般市民への教育・啓発を行っていく。
 市民を対象とした健康教育事業の一環として、室蘭市・登別市消防と協同で行っている“未来のバイスタンダー”である高校生を対象とした心肺蘇生法講習会を開催する。また、会員から提言があった野球少年団員の野球肘検診を医師会事業として協力応援していく。市民によるがん撲滅のチャリティー社会運動である全世界的な“リレー・フォー・ライフ”活動は、北海道では室蘭が発祥の地であるが、医師会として応援していく。
 地域の医療機関の安定した看護師供給体制を維持していくため、看護師養成事業を推進する。
 医師の卒後教育研修を実践するため、日本医師会が主唱する生涯教育研修への積極的参加を喚起し、学術講演会、各種研究会を支援し生涯教育事業を推進する。
 労働者健康安全機構管轄の北海道産業保健総合支援センターの地域窓口である室蘭地域産業保健センターが行う健康相談、メンタルヘルス対策等の事業に協力し、産業保健活動の推進を図る。
 行政からの依頼である地域の安全・安心に寄与する検案医業務が円滑に遂行されるよう会員間の調整、各種援助を行う。
 会員の医療業務、相互扶助、福祉増進、親睦を図る各種事業を行う。

Ⅰ.受託事業(公益目的事業1)

1.学校医・学童健診事業
  ①室蘭・登別両市就学時健康診断 
    入学予定の当該小学校学校医が行う。
  ②室蘭・登別両市立小・中学校定期健康診断(内科・眼科・耳鼻咽喉科)
    当該学校医及び眼科並びに耳鼻咽喉科専門学校医が行う。
  ③室蘭・登別両市立保育所在籍児童の健康診断
    当該保育所嘱託医が行う。

2.乳幼児・成人・老人健診事業
  ①母子保健法に基づく健康診査:室蘭・登別両市3歳児健診、1歳6カ月児健診、4カ月児健診、新生児聴覚検査
    委託業務を承諾した医師(会員)が行う。
  ②健康増進法に基づく健康診査:室蘭・登別両市胃がん検診(バリウム検査、内視鏡検査)、子宮がん検診、乳がん検診、肺がん検診、大腸がん検診、肝炎ウイルス検診、室蘭市骨粗しょう症検診、前立腺がん検診
    委託業務を承諾した医療機関が行う。
  ③女性特有のがん検診推進事業実施要綱に基づくがん検診:室蘭・登別両市女性特有のがん検診(子宮頸がん検診)、女性特有のがん検診(乳がん検診)
    委託業務を承諾した医療機関が行う。

3.特定健診事業
  ①特定健康診査(40歳以上74歳までの室蘭・登別両市国民健康保険被保険者及び後期高齢者医療被保険者)    
    糖尿病等の生活習慣病、特に内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の該当者・予備群を減少させるため、個人の生活習慣を振り返る機会と位置付け、又は保健指導を必要とする者を的確に描出することを目的とし、室蘭・登別両市から、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査)及び後期高齢者の健康診査業務を受託し、委託業務を承諾した医療機関が行う。

4.受託検査事業
  ①室蘭・登別両市立小・中学校児童・生徒尿検査
    室蘭・登別両市から、学校保健安全法及び学校保健安全法施行規則に規定する尿検査業務を受託し、行う。

5.予防接種事業
  ①個別接種:室蘭・登別両市BCG、四種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ)、二種混合(ジフテリア・破傷風)、五種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ・ヒブ)、麻しん・風しん混合、麻しん、風しん、子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルス、高齢者インフルエンザ、高齢者肺炎球菌、高齢者新型コロナウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチン
   委託業務を承諾した医療機関が行う。
  ②新たに定期接種に指定されるワクチンについても適宜検討し協力をしていく。

6.休日夜間診療確保事業
  ①休日・夜間における一次救急医療体制の確保
    室蘭市民及び登別市民の一次救急医療患者の医療を確保し、住民の健康保持に寄与するため、休日・夜間における医療機関の調整及び当番病院を実施すると共に、室蘭市民及び登別市民に対する救急医療の知識に関する普及啓発を行う。

7.病院群輪番制運営事業(広域救急医療対策事業)
  ①休日・夜間における入院治療等を要する重症患者の医療確保
    地域の実情に応じた病院群輪番制による二次救急医療施設を整備し、在宅当番医制等の初期救急医療施設及び救急患者の搬送機関との円滑な連携体制のもと、休日又は夜間における入院治療等を必要とする西胆振地域住民の重篤救急患者の医療を確保し、住民の健康保持に寄与するため、二次救急医療体制の充実を図ることを目的とし、室蘭市、胆振西部医師会と広域救急医療対策事業等に関する協定書を締結し、実施する。

8.小児救急医療支援事業
  ①休日・夜間における小児重症患者の医療確保
    地域の実情に応じた二次救急医療施設を整備し、在宅当番医制等の初期救急医療施設及び救急患者の搬送機関との円滑な連携体制のもと、休日又は夜間における入院治療を必要とする重症の小児患者の医療を確保し、住民の健康保持に寄与するため、二次救急医療体制の充実を図ることを目的とし、室蘭市、胆振西部医師会と広域救急医療対策事業等に関する協定書を締結し、実施する。

9.在宅医療事業
  ①在宅医療提供体制強化事業(在宅医療に必要な連携を担う拠点)
    地域の在宅医療に必要な連携体制を構築するため、定期的な会合の開催または研修会の開催等により、在宅医療に携わる多職種人材育成を目的とした事業を受託し、行う。

10.室蘭・登別両市から受託する上記以外の事業
  ①ピロリ菌検診(40歳から65歳までの未受診者及び中学2年生)
    室蘭・登別両市から、ピロリ菌検診を受託し、行う。なお、中学生については、陽性者に対する除菌治療を受託し、行う。

Ⅱ.市民を対象とした健康教育等事業(公益目的事業2)

1.健康教育普及事業
  ①健康増進法に基づく健康教育・健康相談
    室蘭・登別両市から、健康増進法に基づく健康教育・健康相談を受託し、行う。

  ②救急の日及び救急医療週間における健康教育・健康相談 
    室蘭・登別両市から、健康増進法に基づく健康教育・健康相談を受託し、行う。

2.心肺蘇生法講習会事業
  ①ミニアンキット等を用いての心肺蘇生法講習会
    自動体外式除細動器(AED)が普及し、救急救命措置の機会が身近になってきたことを受け、救命方法の啓蒙を目的とし、講習会を開催する。

3.野球肘検診事業 
  
①野球肘検診
    室蘭市・登別市少年野球団員を対象として検診を行う。

Ⅲ.看護師養成事業(公益目的事業3)

1.市立室蘭看護専門学院への看護師養成委託 
   室蘭・登別両市の医療機関の看護師養成及び確保並びに地元定着を目的とし、市立室蘭看護専門学院室蘭市医師会委託生(機関推薦入試)の選考(学科試験・面接試験)を行い、委託生として入学した学生に対し、奨学資金の貸付を行う。

Ⅳ.学術及び科学技術の振興を目的とする事業(公益目的事業4)

1.症例検討会、研究発表会の開催
  日常診療における症例検討や研究発表の場として、医師のみならず、看護師・医療関係者などコメディカルの発表や参加も受け入れ、室蘭・登別両市内及び胆振圏における医療水準の向上を図る。

Ⅴ.臨床検査センターの運営(その他の事業1 相互扶助等事業)

1.室蘭市医師会臨床検査センターの運営
  室蘭・登別両市及びその周辺の医療機関からの検体のみならず、室蘭・登別両市内の学童・生徒の尿検査、室蘭・登別両市関連施設栄養士・給食調理員の赤痢・サルモネラ菌培養検査及び病原性大腸菌培養検査並びに病原性大腸菌毒素判定を行う。

Ⅵ.相互扶助等事業(その他の事業2 相互扶助等事業)

1.会員の相互扶助及び福祉増進
  会員相互の親睦の推進及び会員並びに会員家族への慶弔慰等福祉増進を図る。

2.検案嘱託医業務への協力 
  検案嘱託医業務を行う会員に対し、検案業務に係る検査キットの提供を行う。

3.診療報酬明細書及び請求書等の販売 
  手書きによる会員(医療機関)のための診療報酬明細書及び請求書の販売を行う。

4.北海道医師国民健康保険組合室蘭支部としての業務
  北海道医師国民健康保険組合の支部における業務を行う。

Ⅶ.相互扶助等事業(その他の事業3 相互扶助等事業)

1.総務省クラウド型EHR高度化事業 
  クラウド技術を活用して、西胆振医療圏に導入されているEHRを有効活用し、医療機関、介護事業者等の双方向の情報連携を実現し、西胆振医療圏のEHRを高度化し、継続的利用を実現し、西胆振医療圏の地域包括ケアシステムの推進を図る。