1. 会長挨拶

地域医療を支え、住民の皆様が安心して暮らせる街を目指します。


室蘭市医師会 会長 村下 十志文(むらした としふみ)

Murashita Toshifumi

 令和6年6月、歴史ある室蘭市医師会会長に就任しました。室蘭市医師会は、1905年(明治38年)に設立され、2012年(平成24年)には公益社団法人に組織変更いたしました。室蘭市と登別市の2市の医師会員で構成されており、住民の皆様の健康維持増進、疾病予防や治療、保健衛生や福祉の向上に努めております。

2020年に全世界で新型コロナウイルス感染症が流行し、医療関係はもちろんのこと、社会にも大きな影響を与えました。当初は毒性の強いデルタ株でしたが、2年後に弱毒化したオミクロン株に変わり、感染症5類になったのがさらに2年後の2024年5月でした。実に4年間、新型コロナウイルス感染症に翻弄されましたが、一方で地域の人口減少は、この間も着実にすすみました。過去5年間を振り返りますと、西胆振の人口は、毎年3,200人減少し、室蘭・登別合わせて、毎年2,000人以上の減少があり、労働人口の減少が顕著です。今までは、地方における医師不足が問題でしたが、これからは医療従事者不足の問題も加わることになります。

また、人口減少を反映し、医療体制も変わらざるを得ません。2次医療圏の高度急性期、急性期医療や救命救急の拠点として蘭東地域に「製鉄記念室蘭病院」に段階的に集約化を目指すこと、一方、軽度な急性期医療のほか、主に回復期・慢性期医療を行う医療機関を「日鋼記念病院と市立室蘭総合病院」との間で協議を行い、蘭西地域に確保することを目指すという合意がなされました。室蘭市医師会としては、地域医療を支えるためこれらの医療機関の支援はもとより、医療と介護の連携、在宅医療、かかりつけ医制度等の充実を図りたいと考えています。これらの政策は、2025年から始まる新たな地域医療構想(2040年に向けた医療体制の構築)の中にも明記されています。室蘭市医師会は、7年前より地域医療介護ネットワークとして「スワンネット北海道」を運用しています。西胆振全体の20%が登録されており、65歳以上では34%になりました。室蘭・登別に限ると全体の25%、65歳以上では40%以上にのぼります。地域の社会インフラとなっていると言っても過言ではありません。国が進める全国医療情報プラットホームは、限られた情報(3文書、6情報)であり二次医療圏を跨ぐ受診の際に利用され、一方で二次医療圏内では、情報量の多い地域医療介護ネットワークを利用することになっております。これからも、医療介護の情報共有を、さらに充実させたいと考えています。

                                                                   2025年6月2日